いざ、新築一戸建ての購入を検討しようと思った時に、注文住宅と建売住宅、結局どちらがいいのかと迷われることもあるでしょう。
この記事では、注文住宅と建売住宅の比較やそれぞれの特徴や違い、メリット・デメリット、どちらがいいか迷ったときの選び方のポイントやそれぞれに向いている人、注文住宅の費用を抑える方法などをご紹介します。
目次
マイホームを検討する際、多くの人が「注文住宅」と「建売住宅」という選択肢の間で悩みます。それぞれに魅力がありますが、理想の家づくりを実現するためには、まず両者の基本的な違いをしっかり理解しておくことが重要です。
ここでは、特に知っておきたい「費用」「期間と流れ」「土地の扱い」「設計の自由度」という4つのポイントに絞って、その違いを比較しながら解説します。
一般的に、同じエリアや同程度の規模であれば、建売住宅の方が注文住宅よりも費用を抑えやすい傾向にあります。
・建売住宅
土地と建物がセットで販売されるため、購入価格が明確です。これは、建材や設備を一括で大量に仕入れたり、設計プランを規格化したりすることで、建築コストを効率的に削減しているためです。広告に掲載されている価格で購入できる分かりやすさが魅力ですが、網戸やカーテンレールなどがオプション費用となっている場合もあるため、何が含まれているかの確認は必要です。
・注文住宅
土地代金のほかに、建物の「本体工事費」「別途工事費(外構など)」「諸費用(設計料など)」といった様々な費用が発生します。こだわりたい部分にお金をかけ、そうでない部分はコストを抑えるといった予算調整が可能な一方、理想を追求するあまり、当初の予算をオーバーしやすいという側面もあります。
入居までのスピードを重視するなら、建売住宅の方が圧倒的に早くなります。
・建売住宅
すでに完成済みの物件であれば、契約から最短1〜2ヶ月程度で入居が可能です。 建築中の物件でも、完成を待つだけなので、比較的短期間で新生活をスタートできます。購入までのステップがシンプルなのも特徴です。
・注文住宅
土地探しから始まり、建築会社選び、プランの打ち合わせ、設計、建築工事と、非常に多くのステップを踏みます。そのため、相談を開始してから入居まで1年以上かかることも珍しくありません。時間と労力はかかりますが、家づくりの過程そのものを楽しめるというメリットもあります。
家を建てる場所、つまり「土地」をどう取得するかが大きく異なります。
・建売住宅
土地と建物がセットで販売されているため、自分で土地を探す手間がかかりません。不動産のプロが、生活の利便性などを考慮して選んだ土地に建てられていることが多いのも魅力です。
・注文住宅
原則として、自分で土地を探して購入する必要があります(すでに所有している場合を除く)。希望のエリアに住めるというメリットはありますが、理想の土地がすぐに見つかるとは限らないという難しさもあります。ハウスメーカーによっては土地探しをサポートしてくれる場合もあります。
「自分たちらしい家」をどこまで実現したいかが、どちらを選ぶかの大きな分かれ道になります。
・建売住宅
多くの人に好まれるよう、あらかじめプロが設計したプランのため、間取りやデザイン、設備の変更は基本的にできません。しかし、完成した実物を見て、日当たりや生活動線などを具体的に確認してから購入できるため、入居後のイメージギャップが少ないという大きなメリットがあります。
・注文住宅
設計の自由度の高さが最大のメリットです。家族のライフスタイルに合わせて間取りを考えたり、趣味の部屋を作ったり、内外装のデザインや設備の一つひとつまで、予算の範囲内で自由に選ぶことができます。
注文住宅は、自分の選んだ土地に希望どおりの間取りをカスタマイズして建てる一戸建てです。着工前から完成までの全ての工程に立ち会うことができるため、家の構造や使用する素材などを検討し、住宅会社を決めたりできるというメリットがあります。また、間取りをどうするかなど、スタートから密に関わることで“自分の家を建てた”という実感も得られます。また、スタート段階から住み始めるタイミングを想定しながら進めることができるなど、より自由度が高いのが特徴です。
注文住宅は、土地探しから建物の設計プランまで自分たちで、決めることができるので、自由度が高いのが一番のメリットです。どこに住むかをはじめ、どんな間取りやデザインにするか、どんな建材や設備を使うのかといったことまで、希望を取り入れることができます。建築士や住宅会社と相談しながらオーダーメイドで理想の家づくりを目指すことができ、気になることや疑問があればプロに確認することも可能です。
こだわりの間取りや理想の設備を取り入れたり、逆にこだわりの少ない部分は節約したりなど、予算をかける部分とそうでない部分のメリハリを付けられるのも注文住宅のメリットです。こだわって建てる自分たちにとっての理想の家なので、入居後は愛着が湧いてくるでしょう。
建売住宅と比較し、一般的にコストが高くなります。また、打ち合わせや建築に時間がかかるため、すぐに入居することはできません。住宅会社によっては、対応している構造・構法・仕様が決まっているケースもあり、自分が理想としている家が建てられる住宅会社かどうか、住宅会社選びが重要になります。
建売住宅は、土地と建物がセットで、あらかじめ決まった間取りで建てられている新築一戸建てです。土地を探す手間がかからず、家づくりにかかる労力が最小限になります。すでに建てられた家を直接見て購入できるため、実際に住んだときの具体的なイメージがしやすく、また価格がはっきりしているので、予算に見合った住宅購入を検討できます。
すでに住宅が完成しているので、立地・間取り・価格・周辺環境なども明確で検討がしやすいです。住宅会社が土地をまとめて購入し複数の住宅をまとめて建てるケースが多いので、ご近所の家庭が、入居時期の近い人たちとなり、近所への気遣いが少なかったり、価格も注文住宅と比べて抑えられることもあります。立地や予算を明確にして探すのであれば、建売住宅のほうが見つけやすく決めやすいでしょう。購入が確定し、清掃や備品の整備などの入居準備が整い次第、入居することが可能です。注文住宅に比べ、入居までの期間が短いこともメリットの一つです。
住宅がすでに完成しているので、設計や間取りの変更は基本的にできません。こだわりや理想の家がある場合、それにぴったりと合致する建売住宅を見つけるのは難しいと言えるでしょう。建築工事の過程を見ることができないので、手抜き工事などにも注意が必要です。またメーカーからの直販ではなく、不動産仲介業者などから購入する場合、不動産会社が建材や建築方法、アフターフォローなどに詳しくなく、質問にすぐに答えられないというケースもあります。
注文住宅や建売住宅には、それぞれに良さや魅力があるので、自分たちのライフスタイルや予算などと照らし合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
・キッチンやバスルーム、リビングなど「こんな家に住みたい」といったこだわりが強い
・趣味やこだわりを家づくりにも反映させたい
・他の人と同じような家にはしたくない
・着工から完成までの工程をチェックしながら家ができる工程を楽しみたい
・早めに新しい生活をスタートさせたい
・キッチンやバスルーム、リビングなどオーソドックスで住みやすい家で暮らしたい・間取りや設備にも強いこだわりはなく、できるだけコストを抑えたい
・自分の目で完成品を確かめて購入したい
・家の購入に時間をかけたくない
自分たちに合う家を見つけたいと思っても、何から手をつけて良いか分からない、という方は多いのではないでしょうか。やみくもに探し始めるのではなく、効率よく理想の住まいに出会うためには、事前の準備が非常に重要です。
ここでは、家探しを始める前に必ず行っておきたい「予算計画」と「情報収集」の具体的なステップを3つご紹介します。
家づくりで最も重要なのが資金計画です。まずは金融機関で住宅ローンの「事前審査」を受け、「自分たちがいくらまで借り入れできるのか」という予算の上限を正確に把握しましょう。 これにより、見るべき物件の価格帯が明確になり、その後の家探しが格段にスムーズになります。予算が分かっていれば、不動産会社やハウスメーカーも具体的な提案をしやすくなり、話が円滑に進むというメリットもあります。
次に、どんな家に住みたいのか、家族全員で希望条件をリストアップしてみましょう。理想を挙げればきりがありませんが、「これだけは絶対に譲れない条件」と「できれば叶えたい条件」に優先順位をつけることがポイントです。
以下のような項目について、なぜそれが必要なのか理由も合わせて話し合っておくと、後で意見がブレにくくなります。
エリア:勤務先へのアクセス、子育て環境、実家との距離など
広さ・間取り:部屋数、LDKの広さ、庭や駐車場の有無など
周辺環境:駅からの距離、スーパーや学校、公園などの近さなど
予算と希望条件がある程度固まったら、積極的に実際の建物を見に行きましょう。注文住宅の「モデルハウス」と建売住宅の「完成見学会」、できれば両方に足を運んでみることをお勧めします。
インターネットやカタログだけでは分からない、空間の広さ、素材の質感、日当たりや生活動線などを自分の目で見て体感することで、それぞれのメリット・デメリットがよりリアルに理解できます。自分たちの好みが明確になり、希望条件をさらに具体化するための大きなヒントが得られるはずです。
注文住宅と建売住宅、どちらを選ぶにしても、購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することは避けたいものです。ここでは、それぞれの住宅タイプで特に重要となるチェックポイントを解説します。
注文住宅は、一人ひとりの要望に合わせて設計・建築するため、建売住宅に比べて費用が高くなりがちです。これは、土地や建材のスケールメリットが効きにくいことや、工期が長くなる分、人件費がかかることなどが理由です。
しかし、工夫次第で費用をコントロールできるのも注文住宅の魅力です。費用を抑えるためには、こだわる部分とそうでない部分を見極めて、予算にメリハリをつけることが何よりも大切です。自分の理想やオリジナリティと、どこまでなら折り合いをつけられるかをじっくり検討してみましょう。
【費用を抑えるための具体的なポイント】
・建物の凹凸を減らし、できるだけシンプルな四角い形にする
・部屋の数を最小限にし、仕切り壁やドアの数を減らす
・キッチンや浴室、トイレといった水回りの設備を1ヶ所に集中させる
・窓のサイズを小さくしたり、数を減らしたりする
・エアコン、カーテン、照明器具など、後から自分で手配できるものは施主支給にする
【建物・室内のチェックポイント】
・間取りと生活動線: キッチンから洗面所への移動など、毎日の家事がスムーズに行えるか。また、手持ちの家具や家電を問題なく置けるか、メジャーを持参して採寸すると確実です。
・収納の量と位置: 今ある荷物や、将来増えるであろうものを想定し、十分な収納スペースが確保されているかを確認します。どこに何をしまうかシミュレーションしてみましょう。
・コンセントやスイッチの位置と数: テレビを置きたい場所や、掃除機を使う場所、ベッドサイドなど、生活シーンを想像して十分な数と適切な位置にあるかを確認します。
・建具や施工品質: ドアや窓、クローゼットの扉などがスムーズに開閉できるか、床や壁紙に傷や汚れがないかなどもチェックしましょう。
【建物外部・周辺環境のチェックポイント】
・日当たりと風通し: 日当たりは季節や時間帯によって大きく変わります。できれば平日と休日、朝・昼・夕方など、時間を変えて複数回訪れて確認するのが理想的です。
・基礎と外壁の状態: コンクリートの基礎部分に大きなひび割れがないか、外壁に傷やズレがないかなど、建物の土台となる部分も見ておきましょう。
・周辺環境と立地: 最寄り駅やバス停までの実際の距離、スーパーや学校、病院などの生活利便施設、近隣の雰囲気や騒音などを自分の足で歩いて確認します。自治体が公開しているハザードマップで、浸水や土砂災害などのリスクも調べておくと安心です。
・アフターサービスと保証: 建物の保証期間や、入居後の定期点検の有無、トラブルがあった際の連絡先など、アフターサービスの内容も契約前に必ず確認しておきましょう。
注文住宅と建売住宅の価格相場は、一般的に建売住宅の方が安いといえます。しかし、注文住宅には自分たちの理想のマイホームを作れるといった大きなメリットもあります。注文住宅と建売住宅のどちらにするかを選ぶ基準は、価格だけでなくマイホームへのこだわりや入居までの時間の余裕など様々です。後悔しない家づくりのために、何を優先したいか決めておきましょう。
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